いじめQ&A
「見えにくいいじめの事実を伝えるには?」「いじめっ子のイイワケにはどんなパターンが?」 いじめに関する考え方や対策などを、ポイントをまとめて解説。
いじめられているときって、「なんで自分がこんな目に合うんだろう」って思うよね。そしてついつい、「もっといい子にすれば、いじめられずに済むのかな」と思ったりするかもしれない。
でも、いじめというのは、その行為そのものが許されないもの。もし誰かに「いじめられやすい要因」があるとしても、「だからいじめて当然」ということにはならない。
いじめという手段をとった以上、それは「いじめた側が100%悪い」ということになる。何かの「要因」があれば叩いてイイ、なんて考え方そのものが、いじめっ子の発想だものね。
ただ、そもそも「どちらが何%悪いか」なんて議論が、全くつまらないものなんだと知ってほしい。解決をしたいなら、「どちらが悪いのか」ではなく、「どうすれば今より事態が改善するのか」を議論しなくちゃいけない。
「いじめっ子が死んじゃえばいいのに」「学校がなくなっちゃえばいいのに」。追い詰められると、とにかく極端な願いを抱いてしまったりもするよね。でも、いじめられなくても済むようになるためには、もっといい方法があるんだ。
社会にあるいじめをゼロにすることは難しいけれど、君がいじめから脱出したり、君へのいじめを止めたりすることはできる。その方法を、このサイトではたくさん紹介しているよ。
いじめの事実を打ち明けられたら、具体的に解決してもらうためのチームを作ってもらおう。たまたま相談した大人が頼りない人だった場合、解決が先延ばしになったり、いじめを悪化させられてしまうかもしれない。
でも、見守ってくれる大人がたくさんいれば、問題解決のためのチャンスも増えるし、相談できる相手も多くなる。学校に伝えるときも、担任の先生だけじゃなく、できれば複数の先生に伝えた方がいい。信じられないことだけど、「いじめ隠し」をする先生もいてしまうからね。
担任の先生に伝えるのが難しい場合にも、別の手段はある。大人は、親や担任の先生だけじゃない。前の担任の先生、教頭先生や校長先生、保健室の先生やスクールカウンセラー、市の専門職の人や電話相談などに応じてくれるNPOの人など、たくさんいる。必要に応じて、弁護士やソーシャルワーカーを頼ってもいいんだよ。
いじめは担任の先生がなんとかするもの、というイメージもあるけれど、そうじゃない。もっといろんなひとが関わりあって、早期に解決を目指すべきものなんだ。一人に頼り切ると、その人の能力に左右されてしまうという問題もある。
君には、安心して学校に通う権利がある。大人には、そんな子どもの権利を守る義務がある。学校は、いじめがあった時の早急なチーム作りの準備をしておく必要があるものだし、君はどんどん大人を利用していいんだからね。
チクリはよくない」というのは、叱られたくないがために無理やり作られたオキテにすぎない。悪いことをしている自分がいけないのに、「チクッたやつ」のせいにしてごまかしているだけ。チクられたら困るからこそ告発は、卑怯なことでも何でもない。卑怯なのは、何よりいじめという行為なんだ。証拠をとり、正しくチクることが正解。周囲の人も、どんどんチクっていい。
また、いじめられていると打ち明けることは、恥ずかしいことでも何でもない。いじめは、君が弱い証拠ではなく、君がいるその環境がいまおかしくなっていることの証拠でしかない。
君より強い軍人やスポーツマンの世界だって、大人の世界だっていじめはある。被害者がどんなに強くても、その人を「弱らせて」しまうものなんだ。
まず知ってほしいことは、自殺は決してゴールではないということ。君のいる学校が人生の全てではないし、その外側にも世界はいくらでも広がっている。今の環境が自分に合わないからといって、社会の全部が敵だということにはならない。
それと同様に、復讐もゴールではないこと。よく、「強くなってやり返せ」「凶器でもなんでも使ってキレてしまえ」という意見をいう人もいるけれど、そういう助言をする人は、実際に君が行為に及んだとしても、何の責任もとってくれないだろう。結局、君だけが危険な目に会うことになってしまう。
復讐が成功するかは単なる「賭け」。自分の評判が下がることを甘んじ、ヘタすればそれで人生を棒に振る可能性もある。そもそも、「復讐しさえすればいい」という考え方は、「反撃できないならいじめられてもしょうがない」という考え方につながっちゃう。
いつでも他の道はある。よりよいやり方はある。そのことをまずは知ってほしい。いじめなんかのせいで、人生を棒に振る必要はない。いじめなんかがない、楽しい時間をすごすための方法は、極端な暴発以外にも存在するんだから。
いじめっ子は、たいてい「いじめは叱られてしまうようなこと」だと知っている。だから「いじめるな」と叱られそうになると、「これはいじめではない」とイイワケをする。例えば、次のようなパターンがあるね。
☆いじめじゃないと言いはる
「単なる遊びやふざけ」「ちょっとからかってただけ」。
――被害者が苦痛を訴えているなら、加害者の意図がどんなものであっても、それはもう遊びやからかいではない。そのことに気づかず、行為を止める気もないなら、それはもう、いじめっ子以外の何物でもない。
☆いじめられっ子のせいにする
「いじめられっ子こそ悪い」「性格が悪いから見ているとイライラする」「懲らしめるのがむしろ相手のため」
――相手に何か悪い点があったとしても、叩いたり無視したり悪口を言ったりといった、いじめを行うことが正当化されることは決してない。
☆逆ギレする
「なんの筋合いがあって説教できるのか」「あなたに叱る資格なんてない」
――バツが悪くなり、相手を責め返したところで、加害者がしたことの問題は変わらない。責められたという事実から目を背けようとしても、責められるような行為をしたという事実は変わらないんだ。
☆自分の責任を否定する
「自分はそそのかされただけ」「やりたくてやったわけではない」
――仮にリーダーに命令されていたり、空気に流されたりしたとしても、いじめに加担したという事実があるなら、それは改めなくてはいけない。大人に通告するということもできたのにしなかったなら、それは立派な加害者だ。
☆自分たちだけのオキテを主張する
「あいつだけ輪を乱すから」「みんなの空気を乱すのだから、制裁されて当然」
――そのメンバーの間でしか通用しない理屈を振りかざしての暴力は、いつだってただのリンチでしかない。どうどうと社会のいたるところで実行できないのなら、そのオキテが「他所では通用しないおかしなもの」だと気づいているはずだろう。
たいていのいじめっこは、親や先生に対して、こういうイイワケをする。そういうイイワケを使う事自体、バツが悪いと思っている証拠。のらりくらりと逃げることを許さず、証拠で立ち向かい、大人達を巻き込んだ上で、適切な改善を求めていこう。
どんないじめにあったかを記録したら、自分はどうしたいか、相手にはどうなって欲しいか・どんなペナルティを与えて欲しいか、先生や親にはどうしてほしいかについて考えてみよう。
「相手に謝罪してもらい、いじめを起こさないとの確約させてほしい」
「別の学校に転校したい」
「保健室登校を認めて欲しい」
「席替えをして欲しい、班替えをしてほしい、クラス替えをしてほしい」
「相手を出席停止にして欲しい」
「犯罪に相当するので警察に動いて欲しい」。
いじめを止め、君が安心して生活していくための手段はいろいろある。君にピッタリの解決策はなんなのかを、君のためのチームと一緒に考えよう。
⇒悩んだときは、 相談窓口情報ページを利用して欲しい。君の相談に乗ってくれる人がたくさんいるよ!
自分では意識してそうしているわけじゃないのに、周りから「オカマっぽい」「なよなよしている」「男らしく/女らしくしろ」って言われると、本当にげんなりするよね。
歩き方とか持ちものとか、休み時間の過ごし方とか、そういう全てに「普通」とか「普通じゃない」がいつの間にか決められているなんて、すごくキュークツ。だって、これが自分にとっての「普通」なのにね。
人はそれぞれみんな、違っているから面白い。
「オカマ」って言葉は傷つく人もいるけど、性別の「ジョーシキ」に縛られずに超かっこいい人たち、超かわいい人たちは世界にはいっぱいいるし、男の人どうし/女の人どうしで幸せに暮らしている人たちもいる。
きみがどんな服が好きで、どんな遊びが好きで、誰が好きだったとしても、きみはきみのままでいいんだよ。
どんな違いがあってもOKだって言える仲間を見つけよう。
参考:性的マイノリティといじめ⇒ こちら
参考:応援の動画メッセージがたくさんあるよ。⇒ ハートをつなごう学校
「悪い人が警察に逮捕されて、牢屋に行く」。ドラマとか小説とかワイドショーとかでときどき見るかもしれません。 その人が「悪い人」なのかどうか、「牢屋に行かせるべきかどうか」を決めるのが「刑事裁判」です。もう少し丁寧に言うと、裁判官が、その人が「罪」を犯したかどうかを決め、「罪」を犯していた場合に「刑務所に3年間入れ」(懲役)とか「国に100万円支払え」(罰金)といった命令を決める手続のことです。この命令を「刑罰」といいます。「刑事裁判」はイメージをしやすいかもしれません。
「民事裁判」は、「刑事裁判」以外の裁判のほとんどなので、いろんな種類があります。コレと言い切るのが少し難しいのですが、「お金を返せ」とか「家賃を払わないなら家を出ていけ」とか、「車をぶつけられて怪我をしたから、苦しんだ分として代わりにお金を支払え」といった争いをイメージしてください。
きょうだいでケンカをしたり、友だちと言い争いになったりすることがありますね。ケンカや言い争いをするときは、相手に言い分があるのかもしれないけど、自分にだって言い分があります。「相手が先に殴ってきたんだ」「貸したゲームを返さないのが悪いんだ」「来月まで貸してくれるって言ってたじゃないか。まだ終わってないから返せないよ」
どちらが悪いか、普通は話し合いで解決したり、お母さんとか先生が間に入って仲直りさせます。
でも、話し合いで解決できないときとか、まわりに「お母さん」や「先生」といった間に入ってくれる人がいないときとか、仲直りして「借りてたゲームを返す」と約束したのに相手が約束を守ってくれないときとか、間に入った「お母さん」や「先生」の仲直りのさせ方が相手の言い分ばかりを聞いて全然納得できないときとかがあります。
こういったときに、「どうしても納得がいかない」「自分の言い分を正しく判断してほしい」という人が、裁判に訴えます。お互いの話し合いで解決できないので、裁判官に話を聞いてもらい、どちらの言い分が正しいかを判断してもらいます。
裁判の特徴は、どちらの言い分が正しいかを判断するときに、裁判官は、力の強さとか、声の大きさとか、歌のうまさとか、かっこよさとか、家の大きさだとか、そういったことで判断するのではないということです。裁判では「証拠」と「法律」によってどちらの言い分が正しいのかが判断されるのです。
刑事裁判と民事裁判でちがいますので、ここでは民事裁判についてお話します。
民事裁判では大体どんなものでも証拠にすることができます。あしたニコニコメモも証拠にすることができます。裁判官が「ここに書いてあることは本当のことだな」と思えば、それを証拠として何が起きたのかを判断するのです。
また、「証人」という言葉を聞いたことはありませんか。裁判所で、裁判官の前で、一体何が起きたのかを話す人のことを「証人」といいます。いじめを見ていた人が「確かにA君はBさんにたたかれていました」と話をするとこの「話」が「証言」として証拠となります。裁判官が「確かにこの人は本当のことを言っているな」と思えば、それを証拠として、判断できるのです。
刑事裁判は、私たちが「訴える」ことはできません。訴えるのは「検察官」です。検察官が刑事裁判に訴えることを「起訴」といいます。 私たちができることは、自分自身がAさんから殴られたり、またはAさんがBさんを殴っているのを見たときに、「人を殴った人がいる」「犯罪だから刑事裁判に訴えて」ということができるだけです。「被害届」や「告訴」「告発」というのがこの「刑事裁判に訴えてください。起訴してください。」というものです。
殴られた人の話や、けがの具合などを見て、検察官が「AさんがBさんを殴ったのは間違いない」「これは牢屋に入れなければいけない」と考えたときに、検察官が「起訴」することになります。
また、私たちは、直接検察官に「刑事裁判に訴えてください」ということはあまりありません。普通は、まず警察官に「殴られました」と言いに行きます。警察官が私たちから話を聞いて、「これは本当に殴られたのだろう」と思えば、検察官に「殴られた人がいて、本当に殴られたようなので、刑事裁判に訴えるか考えてください」というのです。
「Aさんは人を殴ったようだ」という話が広まると、Aさんにとっては大変なことになります。ですから、警察官や検察官は、「本当にAさんは殴ったのだろうか」と慎重に考えます。「殴ったかもしれないけど、殴っていないかもしれない」と思えば、「起訴」するにはいよいよ慎重になります。また、検察官としては「たぶん殴ったのだろう」と思っても、「刑事裁判」にかけて「確かにAさんはBさんを殴ったので、Aさんを1年間牢屋に入れます」という命令を出させるためには、裁判官を説得するだけの「証拠」がなければなりません。ですので、証拠が少なければ、検察官はさらに慎重になります。
このように、刑事裁判に「訴える」ためには、検察官に、「証拠がしっかりとあるので、この人を起訴すれば、裁判官は有罪にするだろう」と考えてもらう必要があります。そのハードルはなかなか高いと言われています。
「刑罰」は、国が命じるものです。日本では、国が「牢屋に入れ」と命令できるのは、基本的には「大人」に限られます。「大人」とは20歳以上のことです。20歳未満の未成年は、基本的には「牢屋」に入りません。
未成年が「悪いこと」(犯罪を含みます)をしたときには、「先生」でも「親」でもない大人に生活ぶりや友だちとの付き合い方の指導を受けたり(これを「保護観察」と言います)、学校ではない特別な施設(「少年院」)に入れられて教育を受けたりします。
もちろん人を死なせるなど、本当にひどいことをしたときは、20歳未満の未成年でも、「牢屋に入れ」と言われることがありますが、これはとても限られた場合です。
人を殴ることはいけないことです。大人がやれば「刑事裁判」にかけられるようなことです。先ほど書いたとおり、相手が自分と同じ未成年だと、原則として「刑事裁判」にはかけられません。
しかし、それは国が「牢屋に行け」とは命令できないだけであって、「犯罪に当るような悪いこと」であることは間違いないのです。犯罪にあうことは、とても悲しくつらいことです。一度でもいやなことです。それが続くのであれば、殴るのをやめさせて、安心した生活を取り戻したいという気持ちを持つのは当然のことです。
学校で殴ってくるのであれば、先生に言ってみるのがいいでしょう。しかし、殴ったところを直接見ていないと先生もなかなか判断がつきません。また、先生にとっては殴ったA君も生徒です。先生は教育者ですから、A君への教育も考えます。なかなか100%のバックアップは難しいかもしれません。
また、親に言ってみるのもいいかもしれません。けれども親はいつでも学校にいるわけではありません。親がいないところでまたA君が殴ってくるかもしれません。それに、A君にも親がいます。A君の親はA君が殴ったところを見ていません。A君の親からすれば「うちの息子に限って」となるかもしれません。親同士の争いになってしまうかもしれません。
そんなときに、先生やA君の親に「代わりに言い分を言う」のが弁護士です。弁護士は100%あなたのバックアップをします。弁護士から「殴るのをやめてほしい」という言い分をA君に手紙にして伝えたり、先生に直接会って伝えたりすることができます。弁護士は裁判を起こすことができますから、弁護士が出てくると、先生やA君・A君の親は、このままでは裁判になるかもしれないと思います。先生としても、「A君が殴ったのかどうか」をしっかりと調べるようになるかもしれません。A君としても、「このまま殴っていると訴えられるかもしれない」と思ってやめるかもしれません。
それでもA君が殴るのをやめない場合には、「A君が殴ったせいでけがをしたので病院代を払え」とかさらにストレートに「A君が殴るのをやめさせろ」というような裁判を起こすこともできます。裁判になれば、A君が殴ったのか殴っていないのかが争いになります。仮に裁判になっている間に、A君がまた殴ってくれば、A君はとても不利になります。だから、裁判を起こされたA君は、殴ることをやめるかもしれません。
このように、弁護士から手紙を送ったり、民事裁判を起こすことで、A君が殴るのをやめさせることができるかもしれないのです。
大まかな基準として、仲間外れをしたりからかってくる相手と、あまり付き合いたくないな、一緒にいたくないな、と思えば、一度弁護士に相談してみよう。
これまでたくさんの「いじめ」が裁判になりました。「いじめ」の多くは学校で起きます。学校とは、先生や同級生といつも顔を合わせて過ごさなければいけない少し特殊なところです。弁護士に相談するとなると大ごとになってしまうから、できる限り自分で我慢しようと思うかもしれません。
でも、なぜ傷つけられる自分が我慢しなければならないのでしょうか。
学校は少し特殊なところだけど、学校も「社会」の一つなので、法律に違反することが起きれば当然に法律がNOと言います。法律に違反することが許されることはありません。
では、どのようなことが「法律に違反」するのか。少し裁判所の判決を見てみましょう。
例えばある裁判になった事件では、次のようなことが、「法律に違反」するとされました。
① 仲間外れ・無視
② 毎日のように「うざい」「きもい」「死ね」「天然パーマ」「眉毛が太過ぎ」「油ういとるけど」「毛が濃い」「毛が濃いのに出さんといて」「ニキビ」「汗臭い」「反吐が出る」などと繰り返し述べる。
③ 鞄をける
④ 教科書やノートに「うざい」「きもい」「死ね」などと書く。
⑤ 掃除の際、わざと机の周りにごみを集める。
⑥ ロッカーに貼っていたアイドルのポスターを破る。
⑦ 教科書を隠す。
⑧ 机を外に出す。
⑨ 靴に画びょうを入れる。
⑩ 終了式の朝、被害者が登校すると「くさいから空気の入れ替えをする」と述べる。
また別の事件では、次のようなことが「法律に違反」するとされました。
① 恥ずかしいあだな(金もっこり)を付ける
② お弁当のおかずを取り上げる
③ 水筒から勝手にお茶を飲む
④ 肩パンチをする
⑤ 暴言を吐く
⑥ 「お土産を買ってこないとぶち殺す」と言う
⑦ 肩、股間、太腿内側を殴るける
⑧ 合唱の練習のときに笑う
どうでしょう。自分がされていることで、あてはまることはありますか。また、自分がしていることで、あてはまってしまうことはありましたか。
これらのことを学校生活でしょっちゅう行えば、「法律に違反」すると言われるかもしれないのです。
また、いじめを受けている人は全く悪くないことが、しっかりと認められます。
そのうえで、「慰謝料(イシャリョウ)」という名前で、心が深く傷ついたことの償い(ツグナイ)として、一定のお金を支払わせることができます。
先ほど紹介した事件のうちこちらの事件をもう1度取り上げます。
次のようなことをされた事件です。
① 恥ずかしいあだな(金もっこり)を付ける
② お弁当のおかずを取り上げる
③ 水筒から勝手にお茶を飲む
④ 肩パンチをする
⑤ 暴言を吐く
⑥ 「お土産を買ってこないとぶち殺す」と言う
⑦ 肩、股間、太腿内側を殴るける
⑧ 合唱の練習のときに笑う
裁判所は、このような「いじめ」は法律に違反するとしっかりと宣言しました。いじめられた側が悪いなどとは全く述べませんでした。そして、いじめをしていた生徒とその親に対し、55万円を支払いなさいと命令しました。
また別の事件を紹介します。この事件では次のようなことをされました。
① 「アトピーが汚い」と言われる
② 「顔が醜い」と言われる
③ 「部活に邪魔」と言われる
④ 病気で休んでいて学校に来たときに「もう仮病は直ったの。」と言われる
この事件で裁判所は「いじめ」が法律に違反すると宣言し、56万円を支払いなさいと命令しました。
このように全く暴力がない事件でも、裁判所は、心を傷つけた償いとして、数十万円のお金を支払えと命令しているのです。
皆さんがされていることも、一つ一つ見ていけば、「法律に違反」する行為であるかもしれません。
心が傷ついてつらい気持ちを抱えて学校に行くのであれば、一度弁護士に相談してみてください。
とりあえずお父さん・お母さんにこの頁を見せて、そして弁護士に相談してみてください。
裁判を起こすには、裁判所に「誰に」「何をされたので」「どうしてほしい」を書いた「訴状」を出さなければいけません。「訴状」には多くのルールがあります。法律上、「訴えること」自体は誰でもできるのですが、実際には一人で訴えるのは少し難しいと思います。
また、裁判にはお金がかかります。準備も少し大変です。お父さん・お母さんに手伝ってもらう必要もあるかもしれません。弁護士が手紙を送ったり、裁判を起こしたりすれば、これからA君と一緒に遊ぶことは難しくなります。逆に言えば、「これ以上A君と一緒にいたくない」「A君には近づいてほしくない」と思ったら、弁護士に相談した方がいいと思います。
でも、そういったことを自分ひとりで考えるのは大変です。分からないことも多いと思います。お父さんやお母さん、先生たちに相談しても、法律で解決するとなるとなかなか迷ってしまうと思います。
だから、どうしたらいいのか困ったら、気軽に弁護士に相談してみてください。お父さん、お母さんを説得して、いじめ問題を広く受け付けている弁護士に相談してみてください。いじめに心を痛めている弁護士はたくさんいます。弁護士は皆さんの味方です。きっと力になります。