統計データ
いじめは、起きやすい環境と、起きにくい環境とがあります。森田洋司や滝充らの研究では、「いじめられた子の割合は小学校のほうが中学校に比べて高い」ことが明らかになっており、学年が進むに連れ、徐々に減少していくことがわかります。
いじめ被害:仲間はずれ・無視・陰口:週に1~2回
国立教育政策研究所・文部科学省編
『平成17年度教育改革国際シンポジウム「子どもを問題行動に向かわせないために ~いじめに関する追跡調査と国際比較を踏まえて~」 報告書』より
http://www.nier.go.jp/symposium/sympoH18/h17sympo18221j.pdf
その一方で、文科省の統計では、「認知件数」のピークが中学1年、2年の時期にあることが分かります。これは、学校側が「いじめと認識しやすい」ために数字があがるということが考えられます。
「平成22年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/__icsFiles/afieldfile/2011/08/04/1309304_01.pdf
とくに中学生男子のいじめは、小学校に比べて、「頻繁化・長期化」しやすい、すなわち「深刻化」しやすいことが指摘されています。頻繁化・長期化すればするほど、被害生徒の辛さが大きくなってしまいます。
森田洋司ほか『日本のいじめ』(金子書房、1999)より
いじめがエスカレーションをし、固定化しないよう、早期発見と解決が必要となります。いじめが多く発生しやすい学年をあらかじめ知っておくことで、学校全体で予め年間計画を立てておいたり、アンケート調査や見回りなどを強化するなど、しっかりとした対策を取ることが重要となるでしょう。