統計データ
学校やクラス内の雰囲気は、いじめの増減に大きな影響を与えます。
「みんなと調子をあわせないときらわれると思っている人が多い」
森田洋司ほか『日本のいじめ』(金子書房、1999)より
同調圧力を多く感じがちな生徒がいる教室では、異質性が攻撃されやすい環境であるために、いじめ被害に合う人の割合が増加します。他にも、集団主義的な教室、モラル低下がみられる教室などでも、増加の傾向が見られます。
森田洋司ほか『日本のいじめ』(金子書房、1999)より
「クラスの雰囲気がよくない」という言葉で表現されることが多いと思いますが、排除性が強く、誰かを助けるという態度が共有されていない教室では、いじめの加害・被害経験が増加します。逆に、そうではない教室では、いじめの加害・被害経験そのものを減らせているということにもなります。
多様性に寛容で、集団主義的ではないがモラルの共有が見られる教室では、そうではない教室に比べ、いじめの発生件数を抑えられるということです。
森田洋司ほか『日本のいじめ』(金子書房、1999)より
いじめが深刻化(長期化・頻繁化)する教室では、「教師がいじめを知っている」割合が高くなります。さらに、先生は何もしてくれなかった」の割合に注目すれば、示唆的な情報が得られます。
森田洋司ほか『日本のいじめ』(金子書房、1999)より
小学校では、いじめが深刻化している教室において、「いじめをなくそうとしてくれた」割合が高くなっています。一方で、中学校では、「いじめをなくそうとしてくれた」割合が低くなっています。
コレラを見る限り、「いじめを認知しているが、いじめを止めるのに失敗し、なめられてしまった」パターンと、「いじめを認知しているが、いじめを止めることもせず、放任・許容していると取られてしまった」パターンで、いじめがエスカレーションすることがあると捉えることができます。
森田洋司ほか『日本のいじめ』(金子書房、1999)より
森田洋司ほか『日本のいじめ』(金子書房、1999)より
クラスメイトがいじめを認知しているにもかかわらず、仲裁などが行われない場合も、いじめが深刻化しやすくなっています。
「いじめを許さない環境」、つまりはストレスが少なく、いじめ加害が放任されず、通報や仲裁が行われやすい環境を作ることが重要になります。いじめを、参加している個人同士だけの問題だと思わず、学校空間・クラス空間などからストレス条件を減らし、いじめの発生を抑えること。早期介入への信頼を築くことで、いじめのエスカレーションを防ぐこと。こうした観点に注目し、効果的なメソッドを導入していく必要があります。